ゴムクローラー処分費の見積書チェックポイントとは?損をしないための確認事項を徹底解説

建設機械や農業機械に使用されるゴムクローラー(無限軌道)は、摩耗や破損により一定の期間で交換が必要となる消耗品です。
交換後に不要となった使用済みゴムクローラーは、産業廃棄物として適正な方法で処分しなければ法令違反となり、企業リスクも高まります。

そのため、多くの事業者は産業廃棄物処分業者に処分を委託していますが、処分費用の見積書をきちんと読み解くことうえで処分費以外に意外と見落とされがちな重要ポイントがあります。
「なぜこんなに費用がかかるのか?」「運搬費と処分費が分かれている?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ゴムクローラーの処分費用に関する見積書の読み方・チェックポイント・注意点を、実務と法令の両面から徹底解説します。

※画像はイメージです

ゴムクローラーは「産業廃棄物」扱いになる

法的な分類と根拠

ゴムクローラーはその性質上、「廃プラスチック類」「金属くず」の区分に該当します(混合廃棄物扱い)。
廃棄物処理法に基づき、以下の要件を満たせば産業廃棄物として処分費用を支払って処分をする対象となります。

  • 事業活動に伴って排出されたものである
  • 再利用ができない(有価物と認められない)
  • 廃棄物処理法に基づいて適正処理が求められる

このため、処分業者に委託する際には「産業廃棄物処分費」の見積書が発行されることが一般的です。

ゴムクローラー処分費の内訳とは?

一般的に産業廃棄物を処分する際には自社運搬以外は収集運搬費及び処分費などが一緒に記載されている場合が多く、見積書に記載される費用は、以下のように分類されるのが一般的です。

費用項目説明
処分費(単価)廃棄物そのものの処理にかかる費用。重量や個数で算出。
運搬費排出場所から処分場までの輸送費。距離や台数によって異なる。
積替保管費(該当時)積替・保管施設を経由する場合に発生。
車両費専用車両(ユニック、平ボディ等)使用時の追加費用。
荷下ろし作業費クレーンによる吊り下ろしや人力作業費など。
管理費・契約費用事務手数料や契約書発行費等が別途請求されることも。

チェックポイント①:処分費の単価が「重量」か「個数」かを確認

多くの場合、ゴムクローラーの処分費は「1kgあたり」「1本あたり」で単価が設定されます。
見積書では、以下のような表記に注目してください。

処分費:80円/kg × 200kg = 16,000円(税別)

もしくは

処分費:4,000円/本 × 2本 = 8,000円(税別)

注意点:

  • kgあたり計算の場合は「計量証明書」の提示を求めることが必要です。
  • 1本あたり計算の場合、サイズで価格が変動するため、事前にサイズを業者立ち合いの元、一緒に確認することが必要です。

チェックポイント②:運搬費の計算根拠を確認する

ゴムクローラーは重量物であり、通常のバンでは運搬に向かないため、平ボディやユニック車などの特殊車両費が発生します。

見積書の例:

運搬費:ユニック車(3t)1台 = 25,000円
運搬費:30円/kg

確認すべきポイント:

  • 積載台数:1台あたりの単価での見積書の場合、収集処分業者は見積書の重量に併せて車両選定を行いますが、実際に積み込んでみたところ1台に積載しきれず、追加の車両代が発生してしまうなど、見積書の重量と実際の重量が違った場合に追加の運搬車両代が必要となってしまうリスクがあります。
    重量当たりの費用であれば実際に運搬に車両が何台かかっても重量での計算なので余計なコストがかからないため、重量当たりの単価の方がおすすめです。
  • チャーター扱いか混載扱いか:チャーター便は高額になる傾向があります。

チェックポイント③:積替保管や中継の有無

一部の業者は、中間処理場を経由してから最終処分場へ運ぶ場合があります。この際に「積替・保管費」が加算されることがあります。

積替保管費:3,000円/本

一般的ではありませんが、この項目がある場合は、契約内容や積替施設の所在地・許可の有無を確認しておくとよいでしょう。

チェックポイント④:マニフェスト交付手数料や契約関連費用

産業廃棄物の処理では、マニフェスト(電子または紙)が必須となります。その交付・管理に関して費用が発生する場合があります。

マニフェスト交付手数料:1,000円/枚
契約事務手数料:2,000円

マニフェストは排出事業者が交付することが原則であることは以前の記事で述べましたが、収集運搬・処分業者が用意することが慣習的に行われている場合もあります。

このような項目での記載がある場合には、原則に基づき自身できちんとマニフェストを発行することで費用を抑えることができます。

チェックポイント⑤:不明瞭な「一式」表記は注意

下記のような記載には注意が必要です。

処分費用一式:50,000円

こうした記載では、内訳や単価が不明なため比較検討ができません
できる限り、「処分費」「運搬費」「管理費」などに分かれた詳細見積もりを要求しましょう。

詳細な項目の記載がある業者ほど信頼できる業者の場合が多いです。

チェックポイント⑥:見積書と契約書の整合性を確認

処分を委託する際には「産業廃棄物処理委託契約書(法定契約)」の締結が義務づけられています。
見積書と契約内容(品目・数量・費用)に整合性があるかどうかを必ずチェックしましょう。

よくある質問(FAQ)

Q
ゴムクローラーの処分は何kgくらいになる?
A

サイズや用途(建機用・農機用)によります。1本あたり40~1000kg程度が目安です。芯金の有無や摩耗度により変動します。現物を確認することで見積もりの精度が上がりますので、一度産業廃棄物処分業者へ連絡し、現地を確認してもらい見積書をもらうことがおすすめです。

Q
見積書を複数社から取るのはOK?
A

もちろんOKです。むしろ推奨されます。相見積もりで適正価格の把握と業者の対応力を比較しましょう。

Q
有価物扱いになると見積書は不要?
A

基本的には売却契約となるため見積書という形ではなく、買取査定や売買契約書になります。

まとめ:見積書を正しく読むことで損を防ぐ

ゴムクローラーの処分費用は、重量・運搬距離・処理方法など多くの要素で構成されており、単純な処分費用の金額比較では判断が難しい場合があります。

見積書を見る際は、以下の7つのポイントを必ず確認しましょう:

  1. 単価は「kg」か「本」か
  2. 運搬車両の費用算出方法
  3. 積替保管費の有無
  4. マニフェストや契約費
  5. 処理方法の種類
  6. 「一式」表記の内訳
  7. 契約書との整合性

適正な見積書を見極め、信頼できる処分業者を選ぶことで法令遵守とコスト削減の両立が可能になります。


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