【徹底解説】ゴムクローラーが切れる原因と季節別メンテナンス対策|夏と冬どちらが傷みやすい?

建設機械や農業機械に使用されるゴムクローラー(無限軌道)は、重量と負荷を支える重要部品でありながら、消耗品として必ず寿命を迎えます。
摩耗や劣化が進むと「切れる」「裂ける」といった重大な破損につながり、作業中断や事故の原因となることもあります。ゴムクローラーが切断した際には交換に時間を要してしまい、作業工程の遅れが発生するなど、必ず影響を受けてしまいます。

特に事業者が悩むのは「なぜゴムクローラーが切れるのか」「どのようにすれば寿命が延びるだろうか」「どのようにすると傷みやすいのか」という点です。
加えて、季節ごとに必要なメンテナンス方法を押さえていないと、寿命を大幅に縮め、結果的に処分コストが増大してしまいます。

本記事では、ゴムクローラーが傷んでしまう原因を体系的に整理し、季節ごとの劣化要因、それぞれ季節での点検チェックリストを紹介しています。
ぜひ記事を読んでゴムクローラーが傷む要因を把握し、できるだけ寿命を延ばしコスト削減に役立てましょう!

以下の記事でゴムクローラーの寿命と最適な交換時期について解説していますので、ご確認ください。

そもそもゴムクローラーが切れる原因とは?

ゴムクローラーが「切れる」原因は単純な摩耗だけではありません。以下の要素が複合的に作用し、その結果として切断してしまうのです。

使用環境による要因

ゴムクローラーの劣化や破断は、どのような場所や条件で機械を使用するかによって大きく左右されます。
走行する路面や周囲の環境温度、さらには障害物の有無などが複雑に影響し、クローラーに負担をかける原因となります。

代表的なものを挙げると以下のようになります。

  • 路面条件:硬いアスファルトやコンクリートでは摩耗が進み、ひび割れや裂けが発生。
  • 鋭利な障害物の影響:縁石・石・鉄くずやH鋼などを踏むことにより局所的に破断。
  • 高温環境:特に路面温度が60℃を超える夏場はゴムが軟化し劣化が早まる。

使用方法による要因

ゴムクローラーの寿命は、単に「どこで使うか」だけでなく「どう使うか」にも大きく左右されます。
運転の仕方や張りの管理、作業姿勢のクセなどが積み重なることで、想定以上の負荷がクローラーにかかり、破断や早期劣化を招く原因となります。

具体的には次のようなケースが代表的です。

  • 過負荷運転:積載超過、急旋回・急発進などの急制動がゴムに過度な力を与える。
  • 張り調整不良:張り過ぎは常時テンション過大により常にゴムクローラーに強い引っ張る力がかかるため内部で芯金とゴムが剥離する。緩すぎは噛み込みが発生し、それにより破断するなど。
  • 偏荷重走行:水平でない環境で長時間作業を行うことで片側だけに負荷が集中し、芯金やワイヤーに損傷が発生してしまう。

ゴムクローラー自体や環境の要因

使用方法や路面条件に問題がなくても、ゴムクローラーそのものの性質や周囲の環境によって劣化や破断は進行します。
素材が持つ経年変化や内部構造の損傷、さらには製造時の品質差などが影響し、思わぬトラブルにつながることがあります。

代表的な例を挙げると以下のとおりです。

  • 経年劣化:紫外線やオゾンでゴムが硬化し、ひび割れやすくなる。
  • 内部ワイヤーや芯金の損傷:錆や変形が芯金とゴムクローラーの接着を弱める。
  • 製造不良:接着不良やゴム配合の偏りにより、局所的に切れやすい。

メンテナンス不足

どれほど丁寧に使っていても、定期的な点検や清掃を怠ればゴムクローラーは確実に劣化します。
小さな異物の蓄積やわずかな亀裂の放置が、やがて大きな破損へと発展し、突然のトラブルや稼働停止につながってしまいます。

典型的な例としては次のようなものがあります。

  • 異物の放置:泥や石の噛み込みが内部から破損を進行することで破断に繋がる。
  • 点検不足:小さな亀裂やワイヤー露出を放置すると、走行中に亀裂個所に力が集中することで一気に破断。

季節によって傷みやすさはある? 夏と冬どちらが傷みやすい?

夏の特徴(傷みやすい)

夏は「熱と紫外線」がゴムクローラーの寿命を縮める最大の要因となります。

  • 高温でゴムが軟化し路面との摩耗が進む
  • 紫外線による表面劣化(ひび割れ)
  • 内部温度上昇で接着力低下により芯金の離脱

冬の特徴(注意が必要)

冬は急激な摩耗は少ないものの、「ひび割れ」と「腐食」が大きなリスクになります。

  • ゴムの硬化によるヒビ割れ
  • 芯金の結露や凍結で錆び・腐食がすすみ芯金が離脱
  • 凍結路面でのスリップや空転により摩耗が激しくなる
  • 屋外極寒放置での劣化加速(低温環境に長期間放置によりゴム硬化)

総合評価

夏は冬に比べて傷みやすい傾向があります。

ただし、冬に発生した小さなひびが夏場の高温環境で一気に拡大するケースも多く、どちらの季節でも適切な点検と対策が不可欠です。

夏のメンテナンスチェックリスト

チェック項目内容ポイント
張り調整高温でゴムが伸びやすい張り過ぎは破断の原因
摩耗確認トレッド摩耗を重点確認夏場は摩耗進行が早い
紫外線対策屋外保管時にシート・日陰を利用表面劣化防止
異物除去泥や小石を取り除く夏の泥は乾燥して固着しやすい
稼働時間管理長時間連続使用を避ける内部温度上昇を抑制

冬のメンテナンスチェックリスト

チェック項目内容ポイント
ひび割れ確認低温でゴムが脆化サイド部の点検を強化
芯金腐食防止結露や凍結の影響に注意使用後は泥・雪を洗浄
始動前の暖機軽い走行でゴムを柔軟化硬化状態での急操作NG
スリップ対策凍結路面で空転を避ける急発進・急旋回禁止
保管環境極寒屋外放置を避ける可能なら屋内保管

年間点検サイクル表

頻度チェック内容詳細ポイント
毎日・表面のひび割れ確認
・異物(泥・石)の除去
・張り調整(目視)
小さな亀裂や異物を放置すると重大な破断へつながる。始業前点検を習慣化。
毎週・摩耗状況のチェック
・トレッド部の摩耗度合い確認
・芯金の浮き・サビ確認
摩耗は夏に進みやすい。週単位で摩耗進行(溝の深さ)を把握する。
毎月・張り調整(実測)
・クローラー内側の損傷確認
・洗浄+防錆処理
特に冬は芯金腐食のチェックが重要。月1で丁寧に点検。
季節ごと(年4回)・紫外線・熱劣化チェック(夏)
・硬化・ひび割れチェック(冬)
・清掃・保管方法の見直し
季節の劣化要因に合わせた重点確認。夏は直射日光対策、冬は屋外保管リスクに注意。
年次(1回)・総合点検
・寿命評価(摩耗率・ひび割れの広がり)
・交換計画立案
使用環境に応じて耐用年数は2〜5年。年次点検で交換予算を見積もる。

季節ごとの補足ポイント

春(3〜5月)

  • 冬に発生した小さなヒビや芯金のサビが拡大していないか確認
  • 梅雨前に清掃・防錆処理を徹底

夏(6〜8月)

  • 路面温度が上がるため摩耗が加速
  • 長時間稼働による内部温度上昇を防ぐため休憩を取り入れる

秋(9〜11月)

  • 夏の摩耗ダメージを点検
  • 冬に備えてゴム硬化対策を開始(保管環境を見直す)

冬(12〜2月)

  • ゴムの硬化によるヒビ割れを重点点検
  • 使用後は泥や雪を洗浄し芯金腐食を防止

年間を通じた管理のポイント

季節ごとの点検を怠ると「夏冬の劣化サイクル」で寿命が大幅に縮む。

  • 夏:摩耗・熱劣化が進行
  • 冬:ヒビ割れ・芯金腐食が発生
  • 翌夏:ヒビが拡大し破断リスク増加

まとめ

  • ゴムクローラーが切れる原因は「使用環境」「運転方法」「製品自体の劣化」「メンテ不足」の複合要因。
  • 夏は「摩耗・紫外線」、冬は「硬化・腐食」に注意。
  • 季節ごとのチェックリストを活用し、年間を通じたメンテナンス管理が寿命延長のカギ。
  • 適正管理を怠ると処分費用増加や法令違反リスクにつながる。

本記事を参考に、自社のゴムクローラー管理体制を見直し、コスト削減と安全確保の両立を実現しましょう。


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