
工場や採石場、物流施設、リサイクル施設など、さまざまな産業で利用されているコンベアベルト。
長期間の使用によって摩耗や亀裂が生じ、交換が必要になった際、使用済みのベルトをどのように処分すればよいのか悩む事業者も少なくありません。
コンベアベルトは、一般的なゴム製品とは異なり、内部に繊維やスチールコードなどの補強材が組み込まれているものもあります。そのため、材質や構造によって処分方法が異なります。
本記事では、コンベアベルトの適切な処分方法、産業廃棄物としての区分、処分費用を左右する要因、リサイクルの可能性について詳しく解説します。
コンベアベルトとは?使用される場所と構造
コンベアベルトは、原材料や製品を連続的に搬送するための設備部品です。
鉱石、砕石、砂利、土砂、穀物、製品、廃棄物など、搬送対象は多岐にわたります。
代表的な使用場所には、次のようなものがあります。
- 採石場・砕石工場
- 製鉄所・金属加工工場
- セメント工場
- 産業廃棄物中間処理施設
- リサイクル工場
- 物流倉庫・配送センター
- 食品工場・農産物加工施設
コンベアベルトにはゴム製、樹脂製などがあり、使用環境に応じて構造や耐久性が異なります。
特に重量物を運ぶ産業用ゴムコンベアベルトでは、引張強度を確保するため、内部に繊維層やスチールコードが使用されることがあります。
この複合構造が、使用済みコンベアベルトの処理や再資源化を難しくする要因の一つになっています。
コンベアベルトは何の産業廃棄物に該当する?
コンベアベルトを処分する際に重要なのが、産業廃棄物としての分類です。
合成ゴム製のコンベアベルト
合成ゴムを主成分とするコンベアベルトは、一般的に「廃プラスチック類」に該当します。
廃棄物処理法上の「ゴムくず」は天然ゴムくずを指し、合成ゴムくずは「廃プラスチック類」に分類されます。
そのため、「ゴム製品だからゴムくず」と判断するのは適切ではありません。
天然ゴム製のコンベアベルト
天然ゴムを使用している場合、その部分は「ゴムくず」に該当する可能性があります。
ただし、コンベアベルトには天然ゴムと合成ゴムを配合した製品も存在します。
最終的な廃棄物区分については、製品の材質構成や排出時の状態を確認する必要があります。
金属入りコンベアベルト
内部にスチールコードなどが組み込まれたコンベアベルトでは、ゴム部分に加えて金属部分の確認も必要です。
製品の構造や排出時の状態によっては、「廃プラスチック類」と「金属くず」の混合物などとして取り扱うことが考えられます。
こうした複合素材の廃棄物では、収集運搬業者と処分業者の双方について、必要な許可品目が含まれているか確認することが重要です。
参考法令・資料
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第2条
- 同法施行令第2条
- 東京都環境局「産業廃棄物の具体例」
- 環境省「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」
コンベアベルトの処分が難しい理由
▶ 大型で重量がある
産業用コンベアベルトは、幅や長さによっては非常に大きく、重量も相当なものになります。
使用済みベルトが長尺のまま巻かれていたり、設備から取り外した状態で保管されていたりする場合、積込みに重機などを必要とすることがあります。
▶ 内部に補強材が含まれる
繊維補強ベルトやスチールコード入りベルトでは、単純にゴムを切断・破砕するだけでは適切な処理が難しい場合があります。
破砕設備との適合性や、金属・繊維の分離方法を考慮する必要があります。
▶ 汚れや付着物がある
採石場や製造工場で使用されたコンベアベルトには、土砂、鉱物粉、油分などが付着していることがあります。
付着物の性状によっては、通常のゴム製品とは異なる処理上の注意が必要です。
特に有害物質や油分などが付着している場合は、その内容を処理業者へ正確に伝えることが重要です。
コンベアベルトの主な処分方法とリサイクル方法
▶ 専門の産業廃棄物処理業者に委託する
一般的な方法は、コンベアベルトの処理に対応できる産業廃棄物処理業者へ委託することです。
排出事業者は、廃棄物の種類や数量、発生場所、形状、付着物などを確認し、適切な許可を持つ業者へ依頼する必要があります。
その際には、収集運搬業者と処分業者について、それぞれ法定の委託契約を締結することが基本です。
▶ 切断してから処分する
長尺のコンベアベルトは、搬出や運搬を容易にする目的で切断されることがあります。
ただし、スチールコード入りのベルトは切断に適した設備が必要となり、作業中の事故にも注意しなければなりません。
また、切断を誰が、どこで、どのような契約関係のもとで行うかによって、廃棄物処理法上の整理が必要になる場合があります。
▶ リサイクル可能な処理業者へ委託する
使用済みコンベアベルトは、材質や状態によって資源として利用できる可能性があります。
例えば、金属部分を分離して鉄資源として回収したり、ゴム部分を加工して別の用途に利用したりする方法が考えられます。
ただし、すべてのコンベアベルトを同じ方法でリサイクルできるわけではありません。
コンベアベルトの再資源化では、大きく分けてマテリアルリサイクルとサーマルリカバリーが検討されます。
▶ マテリアルリサイクル
マテリアルリサイクルは、使用済み製品を材料として再利用する方法です。
ベルトを切断・破砕し、用途に応じて加工することで、再生ゴム材料などとして利用できる可能性があります。
ただし、ゴムの配合や繊維補強材の混入状態によって、再生材料としての利用可能性が左右されます。
▶ 金属資源の回収
スチールコード入りのコンベアベルトでは、内部の金属を取り出すことで鉄資源として回収できる場合があります。
一方、ゴムと金属は強固に接着されているため、分離には専用設備や複数の工程が必要になることがあります。
▶ サーマルリカバリー
マテリアルリサイクルが難しいゴムについては、適切な施設で熱エネルギーを回収する方法も選択肢になります。
ただし、廃棄物処理法に基づく許可や施設基準に従った処理が必要であり、単純に燃焼させればよいというものではありません。
コンベアベルトの処分費用は何によって決まる?
コンベアベルトの処分費用は、一律ではありません。処分業者により価格設定は様々です。
主に以下の要因によって変動します。
| 項目 | 費用に影響する内容 |
|---|---|
| 重量 | 総重量が大きいほど処理量が増える |
| サイズ | 長尺・大型の場合は搬出作業が難しくなる |
| 材質 | ゴム、樹脂、金属補強材などの構成 |
| 付着物 | 油分、土砂、異物などの有無 |
| 積込み方法 | 人力、フォークリフト、クレーンなど |
| 運搬距離 | 排出場所から処理施設までの距離 |
| 処理方法 | 切断、破砕、分離、再資源化など |
処分費用を正確に把握するためには、事前にベルトの幅、長さ、厚さ、重量、数量などを確認することが重要です。
写真を処理業者へ送付することで、見積りに必要な情報を共有しやすくなります。
排出事業者が注意すべき法令上のポイント
コンベアベルトを産業廃棄物として処理委託する場合、排出事業者には適正処理の責任があります。
▶ 許可品目の確認
収集運搬業者と処分業者が、該当する産業廃棄物を取り扱える許可を有しているか確認します。
▶ 委託契約の締結
廃棄物処理法第12条第5項・第6項、施行令第6条の2などに基づき、法定記載事項を満たす書面による委託契約が必要です。
▶ マニフェストの交付
処理を委託する場合は、原則として廃棄物の引渡し時にマニフェストを交付し、処理状況を確認します。
電子マニフェストを使用する場合も、適切な登録・報告管理が必要です。
▶ 適正な保管
処分までの間は、産業廃棄物の保管基準に従い、囲い、掲示板、飛散・流出防止措置などを講じる必要があります。
長尺のコンベアベルトを保管する場合は、巻き戻りや荷崩れなどの事故防止にも配慮しましょう。
コンベアベルトの処分を依頼する前に確認したいこと
処分業者へ相談する前に、次の情報を整理しておくとスムーズです。
- ベルトの使用用途
- ゴム製または樹脂製などの材質
- スチールコードや繊維補強材の有無
- ベルトの幅・長さ・厚さ
- 本数・概算重量
- 油分・土砂などの付着物
- 排出場所と積込み環境
- 希望する回収時期
不明な項目がある場合も、製品の写真や仕様書などを用意することで確認しやすくなります。
よくある質問
事業活動に伴って排出されるコンベアベルトは、材質などに応じて産業廃棄物に該当する場合があります。事業用の大型ベルトを家庭ごみとして処分することは避け、適切な廃棄物区分を確認しましょう。
対応できる処理業者はあります。ただし、金属の種類や含有状態、処理設備との適合性、許可品目の確認が必要です。
処理業者の受入能力や運搬体制によります。大量処分では重量や保管状況、搬出作業の条件を事前に相談することが重要です。
大型・長尺のベルトに対応する業者であれば、切断せずに搬出できる場合もあります。車両や積込み設備、道路交通上の制約などによって対応は異なります。
すべてのベルトが再資源化できるとは限りません。しかし現在のリサイクル技術では、ほとんどの素材でリサイクルが可能です。材質、補強材、劣化状態、付着物、処理施設の設備などによって利用可能な処理方法が異なります。
まとめ|コンベアベルトの適正処理には材質と構造の確認が重要
コンベアベルトは、工場や採石場、物流施設などの産業活動を支える重要な設備部品ですが、交換後の処分には注意が必要です。
特に産業用ゴムコンベアベルトでは、ゴムと繊維・金属が組み合わされた複合構造が、処理やリサイクルを難しくする場合があります。
処分にあたっては、材質や廃棄物区分を確認し、適切な許可と設備を持つ処理業者に相談することが大切です。
参考資料・法令
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索)
- 東京都環境局|産業廃棄物の具体例
- 東京都環境局|処理を委託する場合
- 環境省|建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について
- 埼玉県|産業廃棄物の取扱い・排出事業者の処理責任
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