はじめに|産業廃棄物の排出者責任は、ますます厳格化している

産業廃棄物の収集運搬や処分は、単に廃棄物を運び処理する業務ではなく、環境への負荷を抑えるための適正処理を支える中核的な工程です。
近年は、不法投棄や不適正処理の防止、資源循環の高度化、トレーサビリティ(追跡可能性)の確保を目的として、廃棄物処理法を中心とした制度改正や運用強化が続いています。
特に、以下が進んでおり、従来と同じ運用のままでは法令違反となるリスクも高まっています。
- 委託契約書の記載事項の追加
- 電子マニフェスト制度の強化
- 資源循環関連法の新設
- 排出事業者責任の厳格化
本記事では、産業廃棄物に関して近年の法改正動向と、実務上の注意点を分かりやすく整理し、排出事業者・収集運搬・処分業者それぞれが取るべき対応を解説します。
産業廃棄物処分の基本的な流れ
産業廃棄物の処理工程は、大きく次の3段階に分かれます。
- 収集運搬
- 中間処理(破砕・選別・焼却・再生など)
- 最終処分(埋立、再生完了など)
廃棄物処理法では、収集運搬業や処分業を行うために
- 都道府県(または政令市)ごとの許可
- 廃棄物の種類ごとの許可
が必要とされています。
近年の法改正が目指す方向性
近年の制度改正には、共通する大きな方向性があります。
① トレーサビリティの強化
どこで発生し、誰が運び、どこで処理されたかを明確化
② 危険性情報の明確化
有害物質を含む廃棄物の情報共有
③ リサイクル・再資源化の促進
単なる「処分」から「資源循環」への方向転換
④ 排出事業者責任の徹底
委託したから終わりではなく、自らが排出した廃棄物がいつ・どのように最終処分されたかまで把握する必要がある。
近年の産業廃棄物処分に関する法改正は収集運搬業者や処分業者のみならず、排出事業者にも影響する改正が多い点が特徴です。
委託契約書の法定記載事項の追加
なぜ契約書が重視されるのか
産業廃棄物の委託契約書は、単なる民間契約ではなく、法定書面として位置づけられています。
記載漏れや不備があると、
- 委託基準違反
- 行政指導
- 改善命令
の対象となる可能性があります。必ず内容を確認し、適切な取引を心がけましょう。
近年追加された重要なポイント
近年の改正では、特に次のような情報の明確化が求められています。
- 廃棄物の性状
- 含有する有害物質の有無
- 収集運搬業者及び処分業者が取扱う上の注意事項
これにより、収集運搬業者や処分業者は今までより詳細に委託を受ける時点で「何を運ぶのかを詳しく理解できる」ことで、
収集運搬中や処理中の処分業者の事故などを防ぐことができるようになります。
排出事業者側の注意点
- 廃棄物の性状を正確に把握
- SDS(安全データシート)、WDS等の確認、交付
- 口頭説明だけでなく契約書へ反映されているか
収集運搬業者・処分業者側の注意点
- 契約書のひな形を最新化(場合によっては新しい契約書を新たに締結する必要も出てくる)
- 記載内容を理解したうえで受託すること。(受託の際に違反行為がないように)
- 不明点は必ず排出事業者へ確認すること
電子マニフェスト制度の強化
マニフェスト制度の役割
マニフェスト制度とは、
廃棄物が適正に運搬・処理されたことを確認するための仕組み
収集運搬業者や処分業者のみならず、排出者も内容を適宜確認し、処理の進捗を把握することが必要となってきます。
産業廃棄物に関わるすべての者が当事者意識を持つことが重要なポイントです。
電子マニフェストの普及
近年は行政からも紙マニフェストから電子マニフェストへの移行が推奨されています。
一定の条件を超える排出事業者は電子マニフェスト加入が義務付けられているなど、これからも電子マニフェスト導入は急速に進んでいくものとなります。
電子化のメリット:
- 記入ミス削減、即時修正
- 情報の即時共有
- 発行・保存管理の効率化
- 行政への実績報告不要など業務の効率化
報告項目の詳細化
従来のようないつ・どれくらいの廃棄物の最終処分が完了したかだけではなく、
各工程ごとの処分方法や処分量の報告が必要となるなど、より細かな情報入力が求められる方向に制度が進んでいます。
収集運搬・処分業者の実務対応
- システム操作教育(JWNETのHPには操作手順書などが示されている)
- 入力ミス防止のチェック体制(属人化ではなくシステムとして機能することが必要)
- 排出事業者との情報連携
排出事業者の実務対応
- マニフェスト返送状況の定期確認。電子マニフェストの入力状況の把握
- 異常があれば即時照会
許可制度に関する基本的注意点
許可は「種類」と「区域」で分かれる
例:
- 廃プラスチック類:OK
- ゴムくず:NG
というケースもあり得ます。
許可期限切れのリスク
- 無許可営業扱い
- 委託した排出事業者も責任を負う
実務チェックリスト
- 許可証の写しを取得
- 有効期限を台帳管理
- 更新時期をアラート設定
積替保管・中継施設の取扱い
収集運搬途中で廃棄物を一時的に保管場所に保管する場合、以下が必要となります。
- 積替保管の許可の取得
- 積替場所の明示
- マニフェスト記載
無許可の場所での荷下ろしは処理基準違反となり、不法投棄と判断される可能性があります。
混載・混合運搬のリスク
複数種類の産業廃棄物を同一車両で運搬する場合、以下が重要です。
- 分別状態
- 飛散・流出防止
- マニフェストの整合性
不適切な混合は、以下につながります。
- 処理困難
- 追加費用
- 受入拒否
再資源化もより高度なレベルが求められる時代

近年は「処分」のなかでも「再資源化」が非常に重視されています。
限られた資源をいかに有効に再利用するかということは世界的に高い関心を集めており、その技術や様々な考え方が提唱されており、資源化の世界は日進月歩となっています。
その入り口として収集運搬業者や処分業者にも、今までのあたりまえよりも日々高度なレベルが求められており、
また業界のみならず一般の方々も関心を持っており、処理施設の近隣住民などは特に高い関心を持っております。
そこで
- 再資源化ルートの理解
- 分別精度の向上
- 住民への説明責任
- 収集運搬中などの汚染防止
などが高いレベルで求められる時代になっています。
排出事業者責任は依然として重い
これまで話をしてきたように排出事業者は、廃棄物を収集運搬業者へ委託して終わりなのではなく
委託後も最終処分まで責任を負う
とされています。
つまり、
- 無許可業者へ委託
- 契約不備
- マニフェスト未確認
はすべて排出事業者側の責任問題になります。
行政指導・処分につながりやすい事例
- 契約書の未作成
- マニフェスト未交付
- 許可範囲外運搬、処分委託
上記はいずれも特に排出事業者が意識して確認をしないと見落としがちなポイントとなります。
コンプライアンス体制構築のポイント
収集運搬業者・処分業者
- 法改正情報の定期確認
- 社内教育
- 手順書整備(マニュアルの作成・アップデートに伴う定期的な改正)
排出事業者
- 年に1回程度は委託先監査
- 契約更新時チェック(内容は現行法に適合しているのか)
- マニフェスト管理者設置
今後の動向予測
- 電子化のさらなる拡大
- 情報開示の高度化
- 不適正処理への罰則強化
収集運搬業・処分業者は「運ぶだけ」や「処分するだけ」の時代から、情報管理や高度資源化業務を伴う専門業務へと変化しています。
まとめ
産業廃棄物の近年の法改正において特に重要視されているのは、
- 契約書の記載内容確認
- 危険情報の共有
- 電子マニフェスト対応
- 許可内容の厳格管理
- 排出事業者責任の理解
です。
法改正への対応はコストではなくリスク低減投資と考え、早期に体制整備を進めることが、長期的な事業継続につながります。
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