
産業廃棄物の収集運搬では、複数の排出事業者を回り、回収した廃棄物を同じ車両に積んで処分場へ運ぶことがあります。
しかし、排出事業者や現場担当者のなかには、次のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
- 複数の会社の産業廃棄物を同じ車両で運んでもよいのか
- 廃プラスチック類と金属くずを一緒に積めるのか
- 車両の荷台で廃棄物が混ざっても問題ないのか
産業廃棄物の混載について、廃棄物処理法ではすべての混載を一律に禁止しているわけではありません。
ただし、収集運搬業者の許可、排出事業者ごとの委託契約、マニフェスト、廃棄物の性状、運搬先の受入条件など、複数の要件を確認する必要があります。
この記事では、産業廃棄物の混載が認められる可能性があるケースと、混載を避けるべきケースについて、収集運搬の実務に沿って解説します。
※廃棄物の種類や性状、自治体の運用、処分施設の受入基準によって判断が異なる場合があります。実際に混載を行う場合は、収集運搬業者、処分業者および管轄自治体へ事前にご確認ください。
産業廃棄物の混載とは
産業廃棄物の混載とは、一般的には、複数の排出事業者、または複数の種類の産業廃棄物を同じ運搬車両に積載して運ぶことをいいます。
混載には、大きく分けて次の2つのパターンがあります。
▶ 複数の排出事業者の廃棄物を同じ車両で運ぶケース
収集運搬業者が複数の事業場を順番に回り、それぞれの排出事業者から回収した産業廃棄物を同じ車両で処分場へ運ぶケースです。
例えば、A社とB社からそれぞれ廃タイヤを回収し、同じ車両に積載して同一の処分場へ運搬する場合が該当します。
▶ 複数の種類の産業廃棄物を同じ車両で運ぶケース
廃プラスチック類、金属くず、ゴムくずなど、異なる品目の産業廃棄物を同じ車両に積載するケースです。
容器や仕切りによって品目ごとに分けて積載する場合もあれば、発生時点から複数の品目が一体となっている混合廃棄物を運ぶ場合もあります。
この2つは確認すべき内容が異なるため、分けて考える必要があります。
▶ 「混載」と「混合廃棄物」の違い
混載と混合廃棄物は、似ているようで意味が異なります。
混載は、複数の排出事業者、または複数の種類の廃棄物を同じ車両で運ぶという「運搬方法」を表す言葉です。
一方、混合廃棄物は、複数の種類の廃棄物が物理的に混ざり合い、容易に分けられない状態になっている廃棄物を指します。
例えば、次のように区別できます。
| 状況 | 一般的な整理 |
|---|---|
| 廃プラスチック類と金属くずを別々の容器に入れ、同じ車両で運ぶ | 混載 |
| A社とB社の廃タイヤを識別できる状態で同じ車両に積む | 混載 |
| 解体現場で木くず、がれき類、廃プラスチック類などが混ざっている | 建設系混合廃棄物 |
| 廃OA機器のように複数の材質が一体となっている | 一体不可分の混合廃棄物 |
※産業廃棄物の種類については上記の記事にて解説しておりますので確認してみてください。
同じ車両に積んでいるだけで、必ずしも廃棄物同士が混合しているとは限りません。
反対に、収集運搬の途中で廃棄物同士を混ぜてしまうと、排出事業者、品目、数量などを正確に把握できなくなる可能性があります。
混載できる条件と注意点
通常の産業廃棄物については、複数の排出事業者や複数の品目の廃棄物を同じ車両で運ぶことが、すべて一律に禁止されているわけではありません。
ただし、混載する場合でも、通常の収集運搬と同様に次の基準を満たす必要があります。
- 運搬するすべての品目について必要な許可を持っている
- 積込み場所と荷下ろし場所に必要な区域の許可を持っている
- 排出事業者ごとに適切な委託契約を締結している
- マニフェストによって廃棄物の流れを管理できる
- 産業廃棄物が飛散・流出しない
- 悪臭、騒音、振動などによる生活環境上の支障を生じさせない
- 廃棄物同士の混合による発火、漏えい、腐食などを防止できる
- 運搬先の処分業者がすべての品目を受け入れられる
- 特別な区分運搬が必要な廃棄物を混ぜない
つまり、「混載が禁止されていない」という理由だけで、どのような廃棄物でも自由に積み合わせられるわけではありません。
個々の廃棄物について、許可、契約、マニフェスト、安全性、受入条件を確認する必要があります。
複数の排出事業者の廃棄物を混載する場合
複数の排出事業者から回収した産業廃棄物を同じ車両で運搬することは、一定の条件を満たせば可能と考えられます。
ただし、排出事業者ごとの処理責任がなくなるわけではありません。
▶ 排出事業者ごとに委託契約が必要
収集運搬業者は、それぞれの排出事業者との間で、産業廃棄物収集運搬委託契約を締結する必要があります。
例えば、A社とB社の廃棄物を同じ車両で回収する場合でも、A社と収集運搬業者、B社と収集運搬業者の契約はそれぞれ必要です。
同じ車両、同じ品目、同じ処分場であっても、別の排出事業者の契約をまとめて1件として扱うことはできません。
▶ マニフェストも排出事業者ごとに管理する
マニフェストは、排出事業者が自ら排出した産業廃棄物の処理状況を確認するためのものです。
そのため、複数の排出事業者の廃棄物を混載する場合でも、マニフェストは排出事業者ごとに交付または登録します。
A社とB社の廃棄物を同じ処分場へ運ぶ場合でも、A社分とB社分を1枚の紙マニフェストにまとめることはできません。
▶ どの廃棄物がどの排出事業者のものか確実に把握できるようにする
混載する場合は、少なくとも次の事項を確実に把握できる状態にしておく必要があります。
- 排出事業者名
- 排出事業場
- 産業廃棄物の種類
- 数量
- 積載日
- 積載場所
- 運搬先
- 対応するマニフェスト番号
容器、フレコンバッグ、コンテナ、荷札、積載位置などによって、排出事業者ごとの廃棄物を識別できるようにしておくと、荷下ろし時の取り違えを防止できます。
同じ種類の廃棄物を混載する場合
同じ品目であっても、異なる排出事業者の廃棄物を区別できない状態まで混ぜることは避けましょう。
例えば、複数の排出事業者から回収した廃プラスチック類を、収集運搬の途中で一つの容器へまとめた場合、次のような問題が生じる可能性があります。
- 排出事業者ごとの数量が分からなくなる
- 異物が見つかったときに排出元を特定できない
- マニフェストと実際の廃棄物を照合できない
- 一部に処理不適物が混入していた場合、全量を受け入れられなくなる
- 処分料金や処理実績を正確に管理できない
同じ「廃プラスチック類」でも、塩素を含む物、油が付着した物、強い臭いがある物など、性状はさまざまです。
品目名が同じだから安全に混ぜられるとは限らないため、事前に処分業者の受入基準を確認する必要があります。
異なる品目の廃棄物を混載する場合
廃プラスチック類と金属くずなど、異なる品目を同じ車両で運搬する場合も、直ちに違法になるとは限りません。
ただし、次の条件を確認する必要があります。
▶ 収集運搬業者がすべての品目の許可を持っているか
収集運搬業者は、混載するすべての産業廃棄物について、許可を持っている必要があります。
例えば、廃プラスチック類と金属くずを運ぶ場合、許可証の取扱品目に両方が含まれているか確認します。
ゴムと金属で構成されているゴムクローラーのような複合物についても、実際の品目区分と許可内容が合っているか、事前確認が必要です。
▶ 処分業者がすべての品目を受け入れられるか
収集運搬業者が運べる品目であっても、運搬先の処分業者が処分できるとは限りません。
処分業者の許可品目、処分方法、施設の受入基準を確認します。併せて、排出事業者が収集運搬業者・処分業者それぞれと、必要な書面による委託契約を締結しているか確認する必要があります。
処分施設によっては、許可上は取り扱える品目でも、設備や処理工程の都合により、混合状態での搬入を認めていない場合があります。
▶ 廃棄物同士が反応しないか
異なる廃棄物を同じ車両に積む場合は、廃棄物同士の接触によって次のような危険が生じないか確認します。
- 発熱
- 発火
- 有害ガスの発生
- 液体の漏えい
- 容器の腐食
- 悪臭の発生
- 他の廃棄物の処理を困難にする汚染
性状が不明な廃棄物や、薬品が付着した廃棄物については、安易な混載を避けるべきです。
混載時のマニフェストの交付・管理方法
紙マニフェストは、原則として産業廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに交付します。
例えば、廃プラスチック類と金属くずを同じ車両で運ぶ場合、原則として品目ごとにマニフェストを作成します。
また、1台の車両に積載していても運搬先が異なる場合は、運搬先ごとにマニフェストを交付する必要があります。
大阪府や札幌市の案内でも、原則として産業廃棄物の種類ごとに交付し、運搬先が複数ある場合は運搬先ごとに交付することが示されています。
▶ 一体不可分の混合物は例外となる場合がある
廃OA機器のように、排出段階から複数の産業廃棄物が一体不可分の状態になっている場合は、混合物として1枚のマニフェストを交付できることがあります。
ただし、分別できる廃棄物を運搬の都合だけで混ぜれば、常に1枚にまとめられるという意味ではありません。
マニフェストの交付方法に迷う場合は、処分業者や管轄自治体へ確認することが必要です。
紙マニフェストの場合
紙マニフェストを使用する場合は、排出事業者ごと、品目ごと、運搬先ごとに必要なマニフェストを整理します。
運搬車両に複数枚のマニフェストがある場合は、実際の積載物と各マニフェストを照合できるようにしておく必要があります。
回収順に書類を整理したり、容器に管理番号を表示したりすると、取り違えを防ぎやすくなります。
電子マニフェストの場合
電子マニフェストでも、排出事業者ごとに登録が必要です。
収集運搬業者は、車両に積載されている廃棄物と電子マニフェスト情報を対応させ、必要事項を確認できる状態にしておく必要があります。
電子マニフェストを利用する場合も、収集運搬業の許可証の写しなど、運搬時に必要な書類・情報の携帯が必要です。運搬する廃棄物の種類・数量、排出事業者、運搬先などを確認できるようにし、具体的な携帯書類や端末等で確認する方法は、環境省の「書類の携帯義務について」で確認してください。
電子マニフェストは書類の紛失を防ぎやすい一方で、複数の登録情報と積載物を正しく対応させる管理が必要です。
混載禁止・区分運搬が必要な廃棄物
産業廃棄物のなかには、他の廃棄物との混合を避け、区分して収集運搬する必要があるものがあります。
代表的なものとして、次のような廃棄物が挙げられます。区分運搬が必要であることと、他の廃棄物と同じ車両に積載できないことは区別し、廃棄物ごとの基準と許可条件を確認してください。
感染性産業廃棄物
感染性産業廃棄物は、原則として他の廃棄物と混合するおそれがないよう、区分して収集運搬しなければなりません。
環境省の感染性廃棄物処理マニュアルでも、感染性廃棄物を他の廃棄物と混載しないことが示されています。
石綿含有産業廃棄物・廃石綿等
石綿含有産業廃棄物は、破砕しない方法で、他の物と混合しないよう区分して収集運搬する必要があります。
飛散性の高い廃石綿等は特別管理産業廃棄物に該当し、さらに厳格な取扱いが求められます。
水銀使用製品産業廃棄物
水銀使用製品産業廃棄物は、破損を防止するとともに、他の物と混合するおそれがないよう区分して収集運搬する必要があります。
蛍光ランプなどは、荷崩れや他の廃棄物との接触によって破損する可能性があるため、適切な容器を使用します。
性状が不明な廃棄物
内容物や付着物が分からない廃棄物は、他の廃棄物との接触によって予期しない反応が起きる可能性があります。
性状を確認できるまで、他の廃棄物と分けて管理することが重要です。
混載と積替え保管の違い
複数の排出事業者から順番に回収し、そのまま処分場へ運搬する行為と、収集した廃棄物をいったん自社ヤードなどへ降ろす行為は異なります。
車両に積載した状態で回収を続け、そのまま処分場へ向かう場合は、一般的には混載による収集運搬として整理されます。
一方、回収した廃棄物を自社ヤードなどへ降ろし、別の車両へ積み替えたり、一定期間保管したりする場合は、積替え保管に該当します。
積替え保管を行うには、原則として「積替え保管を含む」収集運搬業許可が必要です。
「翌日まとめて運ぶ」「車両を替えるために一度降ろす」といった場合も、単なる混載ではなく積替え保管に該当する可能性が高いため、注意が必要です。
一般廃棄物と産業廃棄物の混載
一般廃棄物と産業廃棄物は、許可制度や処理責任が異なります。
そのため、産業廃棄物収集運搬業の許可だけでは、一般廃棄物を収集運搬することはできません。
環境省は、同様の性状を持つ一般廃棄物と産業廃棄物について、両方の収集運搬業許可を有する者が、容器を分ける、または計量機器で数量を計測するなどして、それぞれの数量を適切に把握できる場合には、一定の条件下で混載できるとの考え方を示しています。ただし、他の物と区分して収集・運搬することが義務付けられている廃棄物は、この取扱いから除かれます。
ただし、これは産業廃棄物収集運搬業の許可だけで一般廃棄物も運べるという意味ではありません。
一般廃棄物の収集運搬には市町村の許可等が必要であり、市町村によって運用も異なるため、事前確認が欠かせません。
委託前の確認事項・チェックリスト
排出事業者が収集運搬業者へ委託する場合は、次の5つの観点から、実際の運搬方法を事前に確認しておきましょう。回収前の最終確認には、後のチェックリストを利用してください。
▶ 許可品目を確認する
委託する産業廃棄物が、収集運搬業者と処分業者の許可品目に含まれているか確認します。
複数品目を混載する場合は、すべての品目について確認が必要です。
▶ 運搬先を確認する
どの処分施設へ運ぶのか、混載状態で受け入れられるのかを確認します。
マニフェストに記載する運搬先と、実際の搬入先が一致していなければなりません。
▶ 区分方法を確認する
複数の排出事業者や品目の廃棄物を、どのように識別するのか確認します。
容器、仕切り、荷札、積載位置などの管理方法を事前に決めておくと安心です。
▶ 数量の把握方法を確認する
混載後も、排出事業者ごとの数量を把握できるようにする必要があります。
回収時の計量、容器数、容量、処分場での計量方法などを確認しましょう。
▶ マニフェストの運用を確認する
排出事業者ごと、品目ごと、運搬先ごとに、どのようにマニフェストを交付または登録するのか確認します。
「収集運搬業者が後でまとめて作成する」という運用は避け、排出事業者自身が必要事項を確認することが重要です。
▶ 回収前の最終チェックリスト

混載による収集運搬を行う前に、次の項目を確認しましょう。
- 収集運搬業者がすべての品目の許可を持っている
- 積込み場所と荷下ろし場所に必要な区域の許可がある
- 処分業者がすべての品目を受け入れられる
- 排出事業者ごとに委託契約を締結している
- 契約書に廃棄物の種類と運搬先が記載されている
- 排出事業者ごとにマニフェストを管理している
- 原則として品目ごと、運搬先ごとにマニフェストを交付している
- 排出事業者、品目、数量を識別できる
- 飛散・流出を防止できる荷姿になっている
- 廃棄物同士が接触しても危険な反応が起こらない
- 石綿・水銀使用製品・感染性廃棄物等の有無を確認し、それぞれに必要な許可と区分運搬等の基準を満たしている
- 過積載にならないことを確認している
- 処分施設の受入基準を満たしている
- 積替え保管を行う場合は、必要な許可と保管基準を確認している
- 事故時に積載物の内容を説明できる
一つでも確認できない項目がある場合は、回収前に収集運搬業者や処分業者へ相談することをおすすめします。
よくある質問
同じ品目であっても、排出事業者ごとの数量や処理経路を確認できなくなる方法は避ける必要があります。
異物が見つかった場合に排出元を特定できなくなる可能性もあるため、容器や積載位置などによって識別できるようにすることが望まれます。
排出事業者が異なる場合は、それぞれの排出事業者がマニフェストを交付または登録します。
また、同じ排出事業者の廃棄物であっても、原則として産業廃棄物の種類ごと、運搬先ごとに交付します。
収集運搬業者と処分業者が両方の品目を取り扱えることが前提です。
ただし、分別できる物を混ぜると処理方法や処分料金が変わる可能性があります。処分施設が混合状態で受け入れられるか、事前に確認してください。
複数の回収先を効率よく回れるため、運搬効率が向上する場合があります。
一方、荷物の区分、数量管理、複数のマニフェスト管理などが必要です。混載できるかどうかは、費用だけでなく安全性と適正処理の観点から判断します。
車両から廃棄物を降ろし、別の車両へ積み替えたり一時保管したりする場合は、積替え保管に該当します。
積替え保管を含まない許可では行えないため、許可内容と自治体の判断を確認する必要があります。
まとめ

産業廃棄物の混載は、すべてが一律に禁止されているわけではありません。
複数の排出事業者や複数品目の廃棄物を同じ車両で運搬できる場合もありますが、次の条件を満たすことが重要です。
- 収集運搬業者が必要な許可を持っている
- 排出事業者ごとに委託契約とマニフェストを管理する
- 原則として品目ごと、運搬先ごとにマニフェストを交付する
- 排出事業者、廃棄物の種類、数量を把握できるようにする
- 処分業者が混載状態で受け入れられることを確認する
- 飛散、流出、発火、破損などを防止する
- 区分運搬が必要な廃棄物は、それぞれの収集運搬基準・許可条件に従う
- 積替え保管に該当する行為を無許可で行わない
特に注意したいのは、「同じ車両に積めること」と「廃棄物同士を混ぜてよいこと」は同じではないという点です。
収集運搬の効率だけで判断せず、契約書、マニフェスト、許可内容、処分施設の受入基準まで確認することが、適正処理につながります。
参考資料:
- 環境省|産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務
- 環境省|感染性廃棄物処理マニュアル(令和4年6月)
- 環境省|水銀廃棄物の適正処理について
- 環境省|一般廃棄物及び産業廃棄物の混合処理について
- 大阪府|マニフェスト制度のページ
- 札幌市|産業廃棄物管理票(マニフェスト)
- 千葉県|複数種類の産業廃棄物を混合して処理した場合
- JWNET|電子マニフェストの一般的な運用
廃タイヤ・ゴムクローラー等の収集運搬・処分は株式会社オーシャンへ
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