農業用ゴムクローラーを自分で持込処分する方法|自社運搬の表示・書類・マニフェストを解説

畑の脇に停まっている白い軽トラック

コンバインやクローラートラクター、農業用運搬車から取り外したゴムクローラーは、産業廃棄物処理業者へ回収を依頼するだけでなく、排出した農家や農業法人が自ら処理施設へ持ち込むこともできます。

自分で持ち込むことで、収集運搬費を抑えられる可能性があります。

一方、農業用ゴムクローラーは内部に芯金やスチールコードを含むため重量があり、通常の荷物と同じ感覚で運搬するのは危険です。

また、自分で運ぶ場合にも、次のような廃棄物処理法上のルールが適用されます。

  • 運搬車両への表示
  • 必要書類の携帯
  • 飛散・流出・落下の防止
  • 処分業者との委託契約
  • マニフェストの交付または登録
  • 適切な許可を持つ処分施設への持ち込み

この記事では、農業用ゴムクローラーを自分で処理施設へ持ち込む方法を、事前準備から処分完了の確認まで順番に解説します。

この記事の結論

自ら排出した農業用ゴムクローラーは、排出事業者自身が処理施設へ運搬できます。ただし、持ち込み前の受入確認、委託契約、車両表示、書類携帯、マニフェストなどの準備が必要です。

※廃棄物の品目区分や必要書類、処理施設の受入条件は、自治体や処分業者によって異なる場合があります。実際に持ち込む前に、必ず処分業者と管轄自治体へご確認ください。

農業用ゴムクローラーは産業廃棄物

農地で作業する黄色い小型ショベルカー

農業生産に使用したコンバインなどから排出されたゴムクローラーは、原則として産業廃棄物に該当します。

農林水産省も、農業分野から排出されるプラスチック類は産業廃棄物であり、農業生産者が排出事業者として適切に処理する必要があると案内しています。

個人経営の農家であっても、農業生産という事業活動に伴って排出された場合は、家庭の粗大ごみとして処分することはできません。

ゴムクローラーの基本的な分類や処分方法については、次の記事で詳しく解説しています。

コンバインのゴムクローラーはどう処分する?農家・農業法人向けに費用・回収方法を解説

持ち込みと回収、どちらを選ぶ?

▶ 持ち込み処分と回収依頼の違い

農業用ゴムクローラーを処分する方法は、大きく「持ち込み」と「回収依頼」に分かれます。

比較項目自分で持ち込む回収を依頼する
運搬する人排出した農家・農業法人許可を持つ収集運搬業者
収集運搬費抑えられる可能性がある発生する
車両の準備排出事業者が用意収集運搬業者が用意
積込み原則として自分で行う条件により業者が対応
車両表示自社運搬用の表示が必要許可業者用の表示
携帯書類排出事業者が準備収集運搬業者が準備
向いているケース処理施設が近く、積込設備がある重量物、多量、遠方、積込みが困難

処分費自体は持ち込みでも発生しますが、排出場所まで収集運搬車両を手配する必要がないため、総額を抑えられる場合があります。

ただし、車両、作業員、燃料、高速道路料金、積込時間などを考慮すると、回収を依頼した方が合理的な場合もあります。

▶ 持ち込みと回収、どちらを選ぶ?

次の表を目安に検討してみましょう。

状況向いている方法
処理施設が近い持ち込み
軽量・少量で安全に積載できる持ち込み
自社にトラックや積込機械がある持ち込み
重量やサイズが分からない回収を相談
大型クローラーが複数本ある回収を相談
車両へ積み込めない回収を相談
処理施設まで遠い費用を比較
車両表示や書類の準備が難しい回収を相談
最大積載量を超える可能性がある回収を依頼

運搬費だけでなく、作業時間、燃料費、高速道路料金、積込機械、事故リスクまで含めて比較することが重要です。

自社運搬として持ち込むための前提

農作業で使われるクローラー式の運搬車

▶ まず確認|自社運搬として持ち込める?

次の項目にすべて該当する場合は、原則として自社運搬として整理できます。

確認事項確認
自らの農業活動で発生したゴムクローラーである□
排出した農家または農業法人が自ら運ぶ□
他の農家から運搬料金を受け取って運ぶものではない□
持ち込み先が受入れを承諾している□
ゴムクローラーを安全に積載できる車両がある□
車両表示と携帯書類を準備できる□
処分委託契約とマニフェストを準備している□

他人の産業廃棄物を運ぶ場合は、自社運搬には該当しません。産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。

注意

「同じ地域の農家だから」「料金を受け取っていないから」という理由だけで、他人の廃棄物を自由に運搬できるわけではありません。

自社運搬の基本については、次の記事もご参照ください。

産業廃棄物の自社運搬とは?許可要件・注意点・メリットまで徹底解説

▶ 持ち込みには収集運搬業許可が必要?

排出事業者が、自ら排出した産業廃棄物を自らの車両で処理施設まで運ぶ場合は、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可は必要ありません。

農家や農業法人が、自ら使用したコンバインのゴムクローラーを自分で持ち込む場合も、基本的には自社運搬として整理されます。

ただし、許可が不要であることと、運搬基準が適用されないことは別です。

自社運搬でも、次のルールを守る必要があります。

  • 車両の両側面に必要な表示を行う
  • 運搬に必要な書面を携帯する
  • ゴムクローラーの落下を防止する
  • 過積載をしない
  • 運搬途中でみだりに降ろさない
  • 決められた処理施設へ運ぶ

持ち込み処分の流れ

農業用ゴムクローラーの持ち込み処分は、次の流れで進めます。

STEP1:ゴムクローラーの本数・状態を確認

本数、幅と長さ、切断・亀裂・芯金露出、泥や油の付着状況を確認します。

STEP2:処分業者へ写真など情報を送り、受入可否を確認

積込み前に受入可否を確認します。

STEP3:処分費・持込日時・必要書類を確認

受入品目、料金、持込日時、必要書類を確認します。

STEP4:処分委託契約を締結

引き渡す前に書面で締結します。持ち込み当日ではなく、事前に処分業者へ相談して進めます。

STEP5:マニフェストを準備

紙または電子のどちらを使用するかを決め、準備します。

STEP6:車両表示・携帯書類を準備

車両の両側面に必要な表示を行い、運搬内容を確認できる書面を携帯します。

STEP7:落下しないよう積載・固定

最大積載量を確認し、ラッシングベルトやワイヤ等で確実に固定します。

STEP8:予約した日時に処理施設へ持ち込む

予約なしの持ち込みは避けます。

STEP9:計量・荷下ろし・マニフェスト受渡し

荷下ろし方法や費用は、事前に処分業者へ確認します。

STEP10:処分終了をマニフェストで確認

処分後に、マニフェストで終了を確認します。

特に重要なのは、ゴムクローラーを車両に積んでから処分業者へ連絡するのではなく、積込み前に受入可否を確認することです。

処分業者への相談と契約

ポイントを指し示す手

▶ 持ち込み前に処分業者へ伝える情報

処分業者へ問い合わせる際は、次の情報を伝えましょう。

▶ 基本情報

  • 排出事業者名
  • 農場または事業場の所在地(廃棄ゴムクローラーが発生する場所)
  • 連絡先
  • 持ち込みを希望する日
  • 紙・電子どちらのマニフェストを使用するか

▶ ゴムクローラーの情報

  • 本数
  • おおよその幅と長さ
  • 切断、亀裂、芯金露出などの状態
  • 泥、油、草木などの付着状況
  • ゴムパッドや廃タイヤなどを一緒に持ち込むか

▶ 写真(事前の写真があるとスムーズです)

  • ゴムクローラー全体
  • 大体の本数が分かる写真
  • 泥や異物の付着状態
  • 積込み後の状態

▶ 処分委託契約も事前に必要

ゴムクローラーを処分業者へ引き渡す前に、排出事業者と処分業者の間で、書面による産業廃棄物処分委託契約を締結します。

契約時には、次の内容を確認しましょう。

  • ゴムクローラーを受け入れられる許可があるか【廃プラスチック類・金属くずの両許可が必要】
  • 許可証の有効期限
  • 処分方法
  • 処理施設の所在地
  • 処分料金
  • 契約期間
  • 最終処分または再生の方法
  • 泥や金属部品などの受入条件

持ち込み当日に契約書を作成するのではなく、事前に処分業者へ相談して準備を進めることが大切です。

自社運搬のルール|表示・書類・マニフェスト

▶ 車両にはどのような表示が必要?

自社運搬で産業廃棄物を運ぶ場合は、車両の両側面に次の内容を表示します。

必要な表示は次のとおりです。

表示内容文字の大きさ
産業廃棄物を運搬している車両である旨5cm以上
排出事業者の氏名または名称3cm以上

一般的には「産業廃棄物収集運搬車」と、農家名・屋号・法人名などを表示します。

自社運搬の場合は、産業廃棄物収集運搬業の許可を使用する運搬ではないため、許可番号の表示は不要です。

表示は、走行中に外部から識別できるよう、見やすい位置に取り付けます。マグネットシートなどを使用する場合も、運搬中に外れないように注意しましょう。

環境省の表示例や詳細は、産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務で確認できます。

オーシャンHPでも、次の記事で表示方法を詳しく解説しています。

産業廃棄物収集運搬車の表示義務とは?車両表示・書類携帯・違反リスクを徹底解説

グラフや書類をパソコンとプリンターで確認するデスク

▶ 自社運搬で携帯する書類

自社運搬を行う車両には、運搬する産業廃棄物に関する情報を記載した書面を備え付けます。

主な記載事項は次のとおりです。

記載事項記載例
排出事業者の氏名・名称株式会社○○農園
住所千葉県○○市○○
産業廃棄物の種類廃プラスチック類・金属くず
数量ゴムクローラー2本、概算○kgなど
積載日2026年○月○日
排出した事業場名○○農場
積載場所の所在地・連絡先千葉県○○市○○・電話番号
運搬先○○産業廃棄物処理施設
運搬先の所在地・連絡先千葉県○○市○○・電話番号

紙マニフェストなどによって必要事項を確認できる場合は、携帯書面として利用できることがあります。

電子マニフェストを使用する場合は、必要情報を確認できる端末・書面などを準備します。

具体的な書類の準備方法は、処分業者と管轄自治体へ事前に確認しましょう。

▶ 自分で運んでもマニフェストは必要?

自ら運搬する区間については、収集運搬業者へ運搬を委託しているわけではありません。

しかし、持ち込み先の処分業者へ処分を委託するため、原則として処分委託に関するマニフェストの交付または電子マニフェストの登録が必要です。

紙マニフェストの場合

処分業者へゴムクローラーを引き渡す際に、必要事項を記載したマニフェストを交付します。

自社運搬区間については、排出事業者が自ら運搬したことが分かるように記載します。

電子マニフェストの場合

電子マニフェストでは、運搬情報で「自ら運搬を行う」として登録する方法があります。

JWNETでも、自己運搬の場合の登録方法が案内されています。

自己運搬の場合のマニフェスト登録方法|JWNET

覚えておきたいポイント

「自分で運ぶからマニフェストは不要」ではありません。処分を他人へ委託する場合は、処分委託についてマニフェストが必要です。

積載と運搬の注意点

▶ 軽トラックでも持ち込める?

農業用ゴムクローラーの大きさと重量が車両の最大積載量の範囲内であれば、軽トラックで運べる場合があります。

ただし、見た目だけで重量を判断するのは危険です。

ゴムクローラーは内部に芯金とスチールコードを含むため、外見から想像する以上に重いことがあります。

最大積載量を超えないようにしなければなりません。重さの確認が不安であればご連絡ください。

▶ 積載前に確認すること

  • 車検証に記載された最大積載量
  • ゴムクローラー1本あたりの概算重量
  • 複数本を積んだ場合の合計重量
  • 固定器具やパレットなどの重量
  • 荷台からはみ出さないか
  • 荷台のあおりを閉められるか
  • 運転席側に荷重が偏っていないか

最大積載量を超える場合は、積載量に余裕のあるトラックを使用するか、収集運搬業者へ回収を依頼しましょう。

▶ 安全な積載方法

ゴムクローラーは輪状で重量があり、急ブレーキやカーブで動く可能性があります。

積載時は次の点を確認してください。

▶ 積載チェック

  • 荷台へ安定させて置く
  • 左右どちらかへ重量を偏らせない
  • ラッシングベルトやワイヤ等で固定する
  • 尖った芯金やワイヤで車両を損傷しないよう養生する
  • 荷台からはみ出さないようにする
  • 必要に応じてシートを使用する
  • 出発後も途中で緩みを点検する

ロープを軽く掛けただけでは、重量物の固定として不十分な場合があります。

固定方法に不安がある場合は、無理に持ち込まず、重量物の運搬に対応した収集運搬業者へ依頼してください。

▶ 泥は落としてから持ち込む?

農業用ゴムクローラーには、土や泥、稲わら、草木などが付着していることがあります。

大量の泥が付着していると、次のような問題につながります。

  • 処理施設の受入れを断られる場合がある
  • 計量重量が増えるため、処分料金に影響する
  • 運搬中に泥が道路へ落下する
  • 処理設備に土砂が混入することで機械の不調につながる

持ち込み前に、可能な範囲で大きな泥や草木を取り除きましょう。

ただし、河川や道路側溝へ泥や油を流さないよう注意が必要です。油や農薬などが付着している可能性がある場合は、自己判断で洗浄せず、写真を送って処分業者へ相談してください。

▶ 自分で切断する必要はない

ゴムクローラーを荷台へ載せやすくするため、自分で切断しようと考える方もいるかもしれません。

しかし、ゴムクローラー内部には強固なスチールコードと芯金が組み込まれています。

一般的な工具で切断すると、次のような危険があります。

  • 工具や刃の破損
  • ワイヤや金属片の飛散
  • 摩擦による発熱や火花
  • 露出したワイヤによる負傷
  • 切断時の跳ね返り

切断後も産業廃棄物としての扱いは変わりません。

処分業者から具体的な指示を受けていない限り、原形のまま持ち込むことをおすすめします。

持ち込み当日のチェックリスト

チェックリストにペンで記入する手

出発前に、次の項目を確認しましょう。

▶ 予約・契約

  • 持ち込み日時を予約した
  • 処理施設の所在地と入口を確認した
  • ゴムクローラーの写真を送った
  • 受入品目と料金を確認した
  • 処分委託契約を締結した
  • 支払方法を確認した

▶ 書類

  • 紙または電子マニフェストを準備した
  • 自社運搬の携帯書面を準備した
  • 排出事業者名と住所を確認した
  • 廃棄物の種類と数量を記載した
  • 運搬先の名称・住所・連絡先を記載した

▶ 車両

  • 車両の両側に表示を取り付けた
  • 最大積載量を確認した
  • ゴムクローラーを固定した
  • 荷台からの落下防止措置を行った
  • 泥や異物を可能な範囲で除去した
  • 出発前に積載状態を撮影した

よくある質問

Q
個人農家でも持ち込めますか?
A

処理施設の受入方針によって異なります。

農業生産に伴って排出されたゴムクローラーは、個人農家であっても原則として産業廃棄物です。個人事業者からの持ち込みに対応しているか、事前に処分施設へ確認してください。

Q
1本だけでも持ち込めますか?
A

処理施設が少量の受入れに対応していれば、1本でも持ち込める場合があります。

最低料金や受付条件が設定されている場合があるため、写真とサイズを伝えて確認しましょう。

Q
予約なしでも持ち込めますか?
A

予約なしの持ち込みは避けましょう。

契約、マニフェスト、許可品目、受入時間、荷下ろし方法などの確認が必要です。施設が稼働していても、書類不備や受入条件の不一致によって荷下ろしできない可能性があります。

Q
近所の農家の分も一緒に持ち込めますか?
A

他の農家が排出したゴムクローラーを運ぶ行為は、自社運搬ではありません。

産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になる可能性があるため、個人の判断で一緒に運ばず、処理業者や管轄自治体へ確認してください。

Q
処分場で荷下ろしをしてもらえますか?
A

処理施設によって対応が異なります。

フォークリフトや重機で荷下ろしできる施設もありますが、荷下ろし方法や費用を事前に確認してください。

まとめ

農業用ゴムクローラーは、排出した農家や農業法人が自ら処理施設へ持ち込むことができます。

ただし、「自分の廃棄物を自分で運ぶだけだから、特別な準備は不要」というわけではありません。

持ち込み前には、次の対応が必要です。

  • 処分業者へ写真、本数、サイズを伝える
  • 受入可否と持込日時を確認する
  • 処分委託契約を締結する
  • マニフェストを準備する
  • 車両の両側面に必要な表示を行う
  • 運搬内容を確認できる書面を携帯する
  • 最大積載量を確認する
  • ゴムクローラーを確実に固定する
  • 泥や異物を可能な範囲で除去する
  • 処分後にマニフェストで終了を確認する

処理施設が遠い場合や、安全に積み込めない場合は、無理に自分で運ばず、収集運搬業者への依頼も検討しましょう。

参考資料:


廃タイヤ・ゴムクローラー等の収集運搬・処分は株式会社オーシャンへ

株式会社オーシャンでは、「産業廃棄物処分業」と「産業廃棄物収集運搬業」の許可を取得し、廃タイヤ・ゴムクローラー等の回収から処分まで対応しています。ご相談の際は、写真・本数・サイズ・保管場所をお知らせください。回収場所や積込条件を確認のうえ、対応可能な回収方法と費用、必要な手続きをご案内します。

詳しくは以下をご参照ください。