【2026年度版】タイヤ・ゴムクローラーの不法投棄が及ぼす影響とは?環境・費用・排出事業者責任までわかりやすく解説

山林、空き地、河川敷、道路脇、資材置き場跡地などに、廃タイヤやゴム製品が大量に放置されている光景を見たことがある方もいるかもしれません。

一見すると、廃タイヤやゴムクローラーは腐敗しにくく、すぐに悪臭を出す生ごみのような廃棄物ではありません。
そのため、一般の方から見ると「置いてあるだけ」「急いで片付けなくてもよいもの」と受け取られてしまうこともあります。

しかし、廃タイヤやゴムクローラーの不法投棄は、景観を損ねるだけの問題ではありません。
長期間放置されることで、火災、害虫の発生、雨水の滞留、土地利用の阻害、撤去費用の公的負担、排出事業者の信用低下など、さまざまな影響を及ぼします。

環境省の令和6年度調査では、産業廃棄物の不法投棄は新規判明だけで106件、総量1.4万トン確認されており、不適正処理についても113件、総量6.0万トンが新たに発覚しています。
不法投棄の件数は過去のピーク時より減少しているものの、現在も悪質な事案は後を絶っていません。
不法投棄は、捨てた人だけの問題では終わりません。

本記事では、タイヤやゴムクローラーの不法投棄が及ぼす影響について
近年確認された廃タイヤの事案を交えながら、排出事業者が注意すべきポイントまでわかりやすく解説します。

タイヤ・ゴムクローラーはなぜ不法投棄されやすいのか

廃タイヤやゴムクローラーは、一般的な可燃ごみや金属スクラップとは異なり、処理に手間と費用がかかる廃棄物です。

タイヤはゴムだけでできているわけではなく、内部にスチールワイヤー、繊維コード、ビードワイヤーなどが含まれています。
ゴムクローラーも同様に、ゴム、芯金、スチールコードなどが複合した構造を持っています。

そのため、単純に燃やしたり、埋めたり、破砕したりするだけでは適正処理になりません。
処理施設では、搬入後に選別、切断、破砕、金属除去、再資源化、熱利用などの工程が必要になります。

特にゴムクローラーは、建設機械や農業機械に使用されるため、1本あたりの重量が大きく、形状も大きいものがあります。
さらに、芯金やスチールコードが入っているため、通常の破砕機にそのまま投入できない場合もあります。

このような特徴から、廃タイヤやゴムクローラーは次のような理由で不法投棄のリスクが生じやすくなります。

処分費が発生する

適正処理には、収集運搬費、処分費、選別費、破砕費、保管管理費などが必要です。
排出者や一部の業者がこの費用を避けようとすると、不適正処理や不法投棄につながる危険があります。

重量や形状の問題

廃タイヤやゴムクローラーはかさばるため、保管場所を圧迫します。
処理ルートが確保されていないまま大量に集めると、資材置き場や空き地に放置されるリスクが高まります。

有価物と廃棄物の判断があいまい

「いつか売れる」「再利用できるかもしれない」「資源として保管している」と主張されることがありますが、実際に取引先や利用計画がなく、長期間放置されている場合は、不適正保管と判断される可能性があります。

処理困難物としての性質

タイヤ業界では、自治体による廃タイヤの不法投棄撤去を支援する「原状回復支援制度」が設けられており、廃タイヤの不法投棄が社会的な課題として扱われていることが分かります。
JATMAの制度では、自治体による撤去事業、行政代執行による撤去を含む事業が支援対象とされています。

近年確認された廃タイヤの不法投棄・大量放置事案

ここでは、近年確認された廃タイヤの不法投棄・大量放置事案を整理します。
ゴムクローラーについては、直近2年で名称を明記した公表事例は限られますが、廃タイヤと同じく、ゴムと金属の複合物であり、重量物であることから、同様の不適正処理リスクがあります。

新潟県聖籠町|廃タイヤ133本の撤去事案

新潟県では、2024年5月、聖籠町大夫興野地内の藤寄橋付近で、不法投棄された廃タイヤ133本の撤去事業が行われました。
新潟県の公表資料によると、撤去作業には新潟県産業資源循環協会新発田支部、聖籠町、新潟県環境局資源循環推進課、新発田地域振興局などが参加しています。

報道では、近隣住民からの相談をきっかけに発覚し、投棄者の特定が難しかったため、最終的に行政側が撤去に踏み切ったことが紹介されています。
また、処分費用についても県や町などが負担したとされています。

この事案から分かるのは、不法投棄は発見されても、必ずしも投棄者を特定できるとは限らないということです。
投棄者が不明の場合、撤去費用や対応負担は自治体、土地所有者、地域社会にのしかかる可能性があります。

鹿児島県南種子町|廃タイヤ約6,200本などの大量放置

2025年6月、鹿児島県南種子町では、産業廃棄物処理業者の土地に放置された産業廃棄物について、鹿児島県が行政代執行による撤去作業を開始したと報じられました。
報道によると、対象となった廃棄物には、廃プラスチック、廃タイヤ約6,200本、廃油入りドラム缶約150本などが含まれていました。

この事案は、単なる山林への投棄とは異なり、事業者の土地に大量の廃棄物が放置されたケースです。
不法投棄と不適正保管・不適正処理は、現場の状況によって表れ方が異なりますが、どちらも生活環境や行政負担に大きな影響を与えます。

特に廃油入りドラム缶が含まれる場合、流出や土壌汚染のリスクが高まります。
廃タイヤだけでなく、複数の廃棄物が混在して放置されることで、撤去の難易度や費用はさらに大きくなります。

新潟県柏崎市|旧牧場跡地の大量廃タイヤ問題

新潟県柏崎市では、旧米山牧場跡地に残された大量の廃タイヤ処理が問題となっています。
柏崎市の資料では、蕨野地内の残置廃タイヤについて、450トン、約64,000本の処理に言及されています。

大量の廃タイヤが長期間残置されると、撤去には多額の費用と長い時間が必要になります。
地上に見えている分だけでなく、地中に埋まっていたり、草木に覆われていたりする場合もあり、現場確認や撤去計画の策定にも手間がかかります。

このような事案は、地域にとって単なる廃棄物問題ではなく、土地利用、景観、観光、住民感情、行政財政にも影響を与える問題になります。

過去の大規模廃タイヤ撤去事案から分かること

新潟県では過去にも、廃タイヤの行政代執行による撤去事業が複数行われています。
県の資料では、長岡市で29万本、新発田市で8.5万本、聖籠町で25万本など、大規模な廃タイヤ撤去事案が記録されています。

これらは直近2年の事案ではありませんが、廃タイヤの不法投棄・不法集積が一度大規模化すると、撤去に行政代執行が必要となり、地域社会に長期間影響を及ぼすことを示しています。

不法投棄が及ぼす影響

環境に及ぼす影響

タイヤやゴムクローラーの不法投棄は、短期間で腐敗する廃棄物とは違い、長期間その場に残り続けます。
そのため、環境への影響は「すぐに目に見える被害」だけでなく、「長期にわたってじわじわと地域に負担をかける被害」として現れます。

景観の悪化

最も分かりやすい影響は、景観の悪化です。

山林や道路脇、河川敷、農地の近くに廃タイヤやゴムクローラーが積まれていると、その地域全体が荒れた印象になります。
地域住民にとっては日常生活の中で不快感が生じ、観光地や農村地域では地域イメージの低下にもつながります。

また、不法投棄された場所は「ここに捨ててもよい場所」と誤認され、別の廃棄物が追加で投棄されることがあります。
最初は数本のタイヤだったものが、家具、家電、建設廃材、廃プラスチックなどの投棄を呼び込み、短期間でごみの山になるケースもあります。

火災リスク

廃タイヤやゴム製品は、火災が発生した場合に消火が難しい廃棄物です。

タイヤは内部に空洞があり、積み重なると空気の通り道ができます。いったん着火すると、内部で燃焼が続き、消火に時間がかかることがあります。
さらに、黒煙や悪臭が発生し、周辺住民の生活環境に大きな影響を与えます。

ゴムクローラーも同様に、ゴム、金属、繊維などの複合物であるため、火災時には処理が困難です。
建設機械用の大型ゴムクローラーが大量に放置されている場合、火災が起きれば周辺への延焼や煙害のリスクも高まります。

特に山林や空き地では、人目につきにくいため、不審火や野焼き、放火などのリスクも無視できません。

雨水の滞留と害虫発生

廃タイヤは内部に雨水がたまりやすい形状をしています。雨水がたまると、蚊などの害虫が発生しやすくなります。

少量の廃タイヤであっても、長期間放置されると、水たまりができ、夏場には衛生環境の悪化につながります。
大量に積まれている場合は、内部に水がたまっているかどうかを外から確認しにくく、撤去作業時に初めて状態が分かることもあります。

ゴムクローラーはタイヤほど水をため込む形状ではない場合もありますが、折り重なって保管・放置されると、隙間に雨水や土砂が入り込み、雑草や害虫の温床になることがあります。

土壌・水質への影響

タイヤやゴムクローラーそのものが直ちに土壌汚染を引き起こすとは限りませんが、長期間屋外に放置されることで、周辺環境に悪影響を与える可能性があります。

特に問題となるのは、タイヤやゴムクローラーだけでなく、廃油、廃プラスチック、金属くず、建設廃材などが混在しているケースです。
南種子町の事案では、廃タイヤだけでなく廃油入りドラム缶も放置されており、報道では廃油漏れにも言及されています。

不法投棄現場では、投棄された廃棄物の種類や由来が不明なことも多く、何が混ざっているか分からない点が大きなリスクです。

野生動物・農地への影響

山林や農地周辺に廃タイヤやゴムクローラーが放置されると、野生動物のすみかになったり、農作業の妨げになったりすることがあります。

農地の近くに不法投棄があると、農産物のイメージにも影響します。
実際に汚染がなくても、「近くに廃棄物が放置されている」という事実だけで、消費者や取引先に不安を与える場合があります。

地域社会に及ぼす影響

不法投棄は、環境問題であると同時に、地域社会の問題でもあります。

住民の不安と苦情の増加

不法投棄された廃タイヤやゴムクローラーを見た住民は、「誰が捨てたのか」「火事にならないか」「さらにごみが増えないか」と不安を感じます。

特に子どもや高齢者が近くを通る場所では、安全面への不安も高まります。
積み上げられたタイヤやゴムクローラーが崩れたり、金属部分が露出してけがにつながったりする危険もあります。

行政への通報・調査・撤去負担

不法投棄が発見されると、自治体は現地確認、写真撮影、投棄物の種類確認、土地所有者の確認、警察との連携、投棄者の特定、撤去方法の検討などを行う必要があります。

投棄者が特定できれば、撤去や費用負担を求めることができます。
しかし、実際には投棄者が不明なケースも多く、その場合は行政や土地所有者が対応せざるを得ないことがあります。

聖籠町の廃タイヤ133本の事案でも、投棄者の特定が難しく、行政や関係団体が撤去に関わったことが公表・報道されています。

税金による撤去費用の発生

不法投棄の深刻な問題は、撤去費用が最終的に公的負担になる場合があることです。

本来、廃棄物は排出した人、または処理を委託された事業者が適正に処理すべきものです。
しかし、投棄者が不明、倒産、資力不足、所在不明などの場合、自治体が撤去せざるを得ないことがあります。

JATMAの原状回復支援制度は、不法投棄された廃タイヤの撤去事業を行う自治体を支援する制度で、撤去費用の2/3または3,000万円のいずれか低い額を支援対象としています。これは、廃タイヤの不法投棄が自治体にとって大きな費用負担になることを示しています。

地域イメージの低下

不法投棄現場が報道されると、地域名とともに「大量の廃タイヤ」「産業廃棄物の放置」「行政代執行」といった言葉が広がります。

これは、地域のイメージ低下につながる可能性があります。観光地、農村地域、住宅地、企業誘致を進めている地域では、景観や環境イメージが重要です。不法投棄は、地域の価値そのものを下げてしまう行為です。

排出事業者に及ぼす影響

不法投棄は、実際に投棄した者だけの問題ではありません。産業廃棄物の場合、排出事業者にも大きな責任があります。

排出事業者責任とは

環境省は、廃棄物処理法第3条第1項に基づき、事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならないと説明しています。また、産業廃棄物を処理業者に委託した場合であっても、排出事業者に処理責任があることに変わりはないとしています。

つまり、排出事業者は「処理業者に頼んだから終わり」ではありません。委託先が適正に処理しているか、許可の範囲は合っているか、契約書は適正か、マニフェストは返送されているかなどを確認する必要があります。

措置命令のリスク

環境省は、不適正な処理を行う廃棄物処理業者に委託していたことが明らかになれば、排出事業者も措置命令の対象になる可能性があり、社名等が公表され、社会的評価を落とすリスクがあるとしています。

これは非常に重要なポイントです。

たとえば、廃タイヤやゴムクローラーを安価な業者に委託したものの、その業者が不法投棄や不適正保管をしていた場合、排出事業者も無関係では済まない可能性があります。

特に、相場より極端に安い価格、契約書を作成しない取引、マニフェストを交付しない取引、許可証を確認しない取引は、大きなリスクになります。

企業信用の低下

不法投棄に関与したと見られると、企業の信用は大きく低下します。

実際に直接投棄していなくても、「処理を委託した廃棄物が不法投棄された」「不適正業者に委託していた」と見られるだけで、取引先、行政、地域住民、金融機関からの評価に影響する可能性があります。

近年は、企業の環境対応やコンプライアンスが重視されています。産業廃棄物の処理状況は、単なる事務処理ではなく、企業の社会的責任の一部として見られるようになっています。

許認可・入札・取引への影響

建設業、製造業、運送業、解体業、レンタル業などでは、産業廃棄物の適正処理が事業継続に直結します。

不法投棄や不適正処理に関与した場合、行政処分、指名停止、取引停止、社内調査、再発防止策の提出などが必要になる可能性があります。

特に公共工事や大手企業との取引では、コンプライアンス違反は重大な問題になります。廃タイヤやゴムクローラーの処分は一見すると現場任せになりやすい部分ですが、実際には経営上のリスク管理項目として扱うべきです。

不法投棄に対する法的リスク

不法投棄は、廃棄物処理法で厳しく禁止されています。

不法投棄をした場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人については3億円以下の罰金が科される可能性があります。

また、廃棄物処理法の目的は、廃棄物の排出抑制、適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分、生活環境の清潔保持を通じて、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることにあります。

この法律の考え方から見ても、不法投棄は単に「ごみを捨てた」という行為ではなく、生活環境の保全を妨げる重大な違法行為といえます。

さらに、排出事業者が処理を委託する場合には、許可を持つ収集運搬業者・処分業者との契約、委託基準の遵守、マニフェスト管理などが必要です。産業廃棄物処理事業振興財団の資料でも、排出事業者は委託基準を守り、許可を受けている運搬業者・処分業者と事前に委託契約書を取り交わす必要があると説明されています。

ゴムクローラーの不法投棄リスク

直近2年で「ゴムクローラー」と明記された大規模な不法投棄事案は、廃タイヤほど多く確認できません。しかし、だからといってリスクが低いわけではありません。

むしろ、ゴムクローラーには廃タイヤとは異なる難しさがあります。

重量があり、運搬・処理に手間がかかる

ゴムクローラーは建設機械や農業機械に使われるため、大型で重量があります。人力で簡単に動かせないものも多く、積み込みには重機やフォークリフトが必要になる場合があります。

そのため、処分費だけでなく、積込費、運搬費、保管費も発生します。この費用負担を避けようとすると、不適正保管や不法投棄のリスクが高まります。

金属との複合物である

ゴムクローラーには、芯金やスチールコードが含まれています。金属部分を含むため、単純なゴムくずとは異なり、処理工程が複雑になります。

破砕しようとしても、芯金やワイヤーが破砕機に悪影響を与えることがあり、事前の切断・分離・選別が必要になる場合があります。

このような処理困難性が、適正処理費用の上昇につながり、不適正処理の誘因になる可能性があります。

「一時保管」と「放置」の境界が問題になりやすい

ゴムクローラーは、建設会社、農業法人、機械整備業者、レンタル会社、処分業者などの敷地に一時的に保管されることがあります。

しかし、保管期間が長期化し、処理計画がなく、雨ざらしで大量に積まれている場合は、周辺環境への影響が問題になります。

「あとで処理する予定だった」「再利用できると思っていた」という説明だけでは不十分です。保管する場合には、飛散・流出・悪臭・害虫・火災などを防ぐ管理が必要です。

不法投棄を防ぐためにできること

排出事業者が確認すべきこと

タイヤやゴムクローラーの不法投棄を防ぐためには、排出事業者自身が適正処理の流れを確認することが重要です。

許可証の確認

まず、収集運搬業者と処分業者の許可証を確認します。

確認すべきポイントは、許可の有効期限、許可品目、積替え保管の有無、処分方法、許可自治体などです。

たとえば、ゴムクローラーが金属とゴムの複合物である場合、どの品目で受け入れ可能なのか、処分業者の許可範囲に含まれているのかを確認する必要があります。

委託契約書の作成

産業廃棄物の処理を委託する場合、収集運搬と処分について、それぞれ委託契約書を作成する必要があります。

契約書がない取引は、排出事業者にとって大きなリスクです。口頭依頼や請求書だけで済ませてしまうと、後から処理責任を確認できなくなります。

マニフェスト管理

産業廃棄物を委託する場合、マニフェストによって処理の流れを管理します。

排出事業者は、廃棄物がどこに運ばれ、どのように処分されたのかを確認する必要があります。マニフェストの返送が遅れている場合や、記載内容に不自然な点がある場合は、すぐに確認することが重要です。

極端に安い見積もりに注意する

廃タイヤやゴムクローラーの処理には、適正な費用がかかります。

もちろん、企業努力によって効率的な処理を行い、低価格で対応できる処分業者もあります。しかし、相場と比べて極端に安い場合は、なぜ安いのかを確認する必要があります。

適正な処理工程、搬入先、処分方法、リサイクル先、マニフェスト対応、契約内容が明確であれば問題ありません。一方で、処理方法が曖昧、許可証を見せない、契約書を作らない、現金取引のみ、搬入先を説明しないといった業者には注意が必要です。

現地確認・処理フローの確認

可能であれば、処分業者の施設を確認することも有効です。

実際にどのような設備で処理しているのか、保管場所は適切か、搬入された廃棄物が滞留していないか、再資源化先や最終処分先が明確かを確認することで、不適正処理のリスクを下げることができます。

処分業者が果たす役割

処分業者側にも、不法投棄を防ぐ重要な役割があります。

廃タイヤやゴムクローラーの処分業者は、単に廃棄物を受け入れるだけでなく、排出事業者に対して適正処理の説明を行う立場にあります。

たとえば、次のような情報提供が重要です。

  • 廃タイヤやゴムクローラーがどのような工程で処理されるのか。
  • ゴム、金属、繊維などがどのように分別・再資源化されるのか。
  • 処理費用にはどのようなコストが含まれているのか。
  • 不法投棄や不適正処理を避けるために、排出事業者が何を確認すべきか。
  • マニフェストや契約書の管理で注意すべき点は何か。

このような情報を分かりやすく発信することで、排出事業者は「安ければよい」ではなく、「適正に処理されることが重要」という視点を持ちやすくなります。

タイヤ・ゴムクローラーの不法投棄が企業にもたらす損失

不法投棄による損失は、撤去費用だけではありません。
企業にとっては、次のような損失が発生する可能性があります。

まず、直接的な費用負担です。不適正処理に関与した場合、撤去費用、調査費用、弁護士費用、行政対応費用などが発生する可能性があります。

次に、取引上の損失です。取引先からの信用低下、契約解除、入札参加制限、社内監査の強化などにつながることがあります。

さらに、ブランドイメージの低下です。企業名が不法投棄や不適正処理と結び付くと、長期間にわたり信頼回復が難しくなります。

最後に、従業員への影響です。コンプライアンス違反が発覚すると、現場担当者や管理部門に大きな負担がかかります。社内教育、再発防止策、報告書作成など、本来の業務以外の対応が必要になります。

不法投棄をなくすために必要な考え方

タイヤやゴムクローラーの不法投棄を防ぐためには、「誰かが片付ければよい」という考え方では不十分です。
重要なのは、排出から最終処分・再資源化までの流れを見える化することです。

  • 排出事業者: 処理業者に任せきりにせず、委託先の許可、契約、マニフェスト、処理フローを確認する必要があります。
  • 処理業者: 適正な処理工程と費用の内訳を説明し、安さだけで比較されないように情報発信する必要があります。
  • 行政: 監視、指導、啓発、撤去支援を通じて、不法投棄を未然に防ぐ必要があります。
  • 地域住民: 不審な投棄を見つけた場合に早期通報することが重要です。

不法投棄は、一度発生すると撤去に時間と費用がかかります。だからこそ、発生後の対応よりも、発生前の予防が重要です。

まとめ|タイヤ・ゴムクローラーの不法投棄は、環境・地域・企業に大きな影響を及ぼす

タイヤやゴムクローラーの不法投棄は、単に「不要なものを捨てた」という問題ではありません。

廃タイヤは火災、害虫、景観悪化、撤去費用の発生など、地域社会に大きな影響を与えます。
ゴムクローラーも、重量物であり、ゴムと金属の複合物であることから、適正処理が難しく、不適正保管や不法投棄につながるリスクがあります。

近年でも、新潟県聖籠町の廃タイヤ133本撤去、鹿児島県南種子町の廃タイヤ約6,200本を含む大量放置、柏崎市の大量廃タイヤ処理など、廃タイヤに関する事案は確認されています。

また、環境省の資料が示すように、排出事業者は産業廃棄物を処理業者に委託した場合でも、処理責任から完全に離れるわけではありません

排出事業者にとって重要なのは、安さだけで処理業者を選ばないことです。
許可証、契約書、マニフェスト、処理フロー、施設の実態を確認し、適正処理が確実に行われる体制を整える必要があります。

タイヤやゴムクローラーは、適切に処理すれば、再資源化や熱利用につながる資源でもあります。
しかし、不法投棄されれば、環境負荷、地域負担、企業リスクを生む厄介な廃棄物になってしまいます。

だからこそ、排出事業者、処理業者、行政、地域がそれぞれの役割を果たし、不法投棄を未然に防ぐことが重要です


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