産業廃棄物収集運搬業許可証の見方とは?排出事業者が確認すべきポイントを解説

産業廃棄物収集運搬業許可証を確認する様子

産業廃棄物の収集運搬を外部業者へ委託する場合、排出事業者は「許可を持っている業者かどうか」を確認する必要があります。

しかし、実務では単に「許可証を持っているから大丈夫」と判断してしまうケースも少なくありません。

産業廃棄物収集運搬業の許可証には、許可を受けている自治体、取り扱える産業廃棄物の種類、積替え保管の有無、有効期限など、委託前に確認すべき重要な情報が記載されています。

この記事では、排出事業者が収集運搬業者へ委託する前に確認しておきたい、産業廃棄物収集運搬業許可証の見方について解説します。

産業廃棄物収集運搬業許可証とは

産業廃棄物収集運搬業許可証とは、産業廃棄物の収集または運搬を業として行うために、都道府県知事などから許可を受けていることを示す書類です。

廃棄物処理法では、産業廃棄物の収集または運搬を業として行おうとする者は、原則として、その業を行う区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。

ここで重要なのは、許可証が「会社として産業廃棄物を何でも運べる証明書」ではないという点です。

許可証には、運搬できる地域や産業廃棄物の種類、積替え保管の可否などが定められています。つまり、許可証を見る際は「許可があるか」だけでなく、「今回依頼する内容に合った許可か」を確認する必要があります。

産業廃棄物収集運搬業許可証で確認すべき5つのポイント

委託前に確認しておきたいのは、次の5点です。

  • 許可を受けている自治体
  • 許可の有効期限
  • 取り扱える産業廃棄物の種類
  • 積替え保管の有無
  • 特別管理産業廃棄物に該当しないか

それぞれ、どこを見ればよいのかを解説します。

許可を受けている自治体

まず確認したいのが、どの自治体から許可を受けているかです。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、原則として「積む場所」と「降ろす場所」に関係します。廃棄物処理法第14条では、収集または運搬を行おうとする区域について許可を受ける必要があるとされています。

特に運搬のみを行う場合は、産業廃棄物の積卸しを行う区域が重要です。

たとえば、神奈川県内の排出場所から、埼玉県内の処分場へ産業廃棄物を運搬する場合、一般的には「神奈川県で積む」「埼玉県で降ろす」という関係になります。そのため、収集運搬業者がそれぞれ必要な許可を持っているかを確認する必要があります。

一方で、単に通過するだけの自治体については、許可が必要になるわけではありません。

実務上は、次のように確認すると分かりやすいです。

  • 排出場所の自治体で許可を持っているか
  • 処分場・搬入先の自治体で許可を持っているか
  • 許可証の自治体名と、実際の運搬ルートが合っているか

「近隣県だから大丈夫だろう」と判断せず、積む場所・降ろす場所を基準に確認することが大切です。

許可の有効期限

次に確認すべきなのが、許可の有効期限です。

産業廃棄物収集運搬業の許可は、一度取得すれば永久に有効というものではありません。廃棄物処理法では、許可は一定期間ごとに更新を受けなければならず、有効期限が存在します。有効期限は原則5年間で、優良産廃処理業者認定を受けている場合は7年間となります。

そのため、委託契約を結ぶ時点では有効でも、実際の回収日や契約期間中に期限が切れてしまう可能性があります。

確認する際は、次の点を見るとよいでしょう。

  • 許可証に記載された許可年月日
  • 許可の有効期限
  • 契約期間中に期限切れにならないか
  • 更新中の場合、行政上の取扱いに問題がないか

特に継続的に回収を依頼している場合は、契約締結時だけでなく、定期的に許可証の写しを更新してもらう運用が望ましいです。

許可期限が切れた状態で委託してしまうと、排出事業者側にも委託基準違反などのリスクが生じる可能性があります。

取り扱える産業廃棄物の種類

許可証の中でも特に重要なのが、「事業の範囲」に記載されている産業廃棄物の種類です。

産業廃棄物収集運搬業者は、許可証に記載された種類の産業廃棄物しか取り扱うことができません。許可を持っている業者であっても、今回排出する廃棄物の種類が許可品目に含まれていなければ、委託先として適切とはいえません。

たとえば、次のような確認が必要です。

  • 廃プラスチック類が含まれているか
  • 金属くずが含まれているか
  • ゴムくずが含まれているか
  • がれき類、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずなどが必要か
  • 石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物などの記載が必要か

廃タイヤやゴムクローラーの場合、「ゴムくず」と考えたくなるケースもありますが、実際には材質や状態によって、廃プラスチック類、金属くずなど複数の品目が関係する場合があります。

ホイール付きタイヤであれば、ゴム部分だけでなく金属部分も含まれます。ゴムクローラーも、芯金やスチールコードなどが含まれます。

そのため、品目判断に迷う場合は、収集運搬業者や処分業者に確認し、契約書と許可証の品目が一致しているかを確認することが重要です。

積替え保管の有無

許可証には、積替え保管の有無も記載されています。

収集運搬業には、大きく分けて「積替え保管を含まない収集運搬」と「積替え保管を含む収集運搬」があります。

積替え保管を含まない場合、収集した産業廃棄物は、原則としてそのまま処分場などの搬入先へ運搬されます。一方、積替え保管を含む許可を受けている場合は、許可された積替え保管場所で一時的に保管したり、別の車両に積み替えたりすることがあります。

環境省の通知でも、収集運搬業の許可証には、積替えまたは保管を行う場所の所在地などを記載することとされています。

排出事業者としては、次の点を確認しておくと安心です。

  • 積替え保管を行う委託内容か
  • 許可証に積替え保管「あり」と記載されているか
  • 積替え保管場所の所在地が記載されているか
  • 契約書に積替え保管に関する事項が記載されているか
  • 安定型産業廃棄物など、混合の可否に注意が必要な廃棄物ではないか

特に、排出事業者が「直接処分場へ運ばれる」と思っていたにもかかわらず、実際には積替え保管を経由していた、という認識違いはトラブルの原因になります。

積替え保管を行う場合は、許可証だけでなく、委託契約書や運搬経路、搬入先の整理も確認しておくことが大切です。

特別管理産業廃棄物に該当しないか

通常の産業廃棄物と、特別管理産業廃棄物では、必要な許可が異なります。

特別管理産業廃棄物とは、爆発性、毒性、感染性など、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがある性状を有する廃棄物をいいます。

もし排出する廃棄物が特別管理産業廃棄物に該当する場合、通常の産業廃棄物収集運搬業許可だけでは足りず、特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可が必要になります。

たとえば、廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性廃棄物、PCB廃棄物などは、性状や濃度、発生工程によって特別管理産業廃棄物に該当する可能性があります。

排出する廃棄物の性状が不明確な場合は、「通常の産業廃棄物として処理できるか」だけでなく、「特別管理産業廃棄物に該当しないか」も確認しておく必要があります。

許可証だけでなく契約書・マニフェストとの整合性も確認する

委託契約書とマニフェストを照合する様子

産業廃棄物の委託では、許可証だけを確認すれば終わりではありません。

許可証、委託契約書、マニフェストの内容が整合していることが重要です。

たとえば、許可証では「廃プラスチック類」「金属くず」の許可を持っているのに、契約書では「ゴムくず」と記載されている。あるいは、マニフェストには「がれき類」と記載されているが、許可証にはその品目がない。このような状態では、後から確認したときに委託内容が不明確になります。

実務では、次の3つをセットで確認するとよいでしょう。

  • 許可証:運搬できる区域・品目・積替え保管の有無
  • 委託契約書:委託する品目・運搬先・積替え保管の有無
  • マニフェスト:実際に排出した品目・数量・運搬先

この3つがずれていないかを確認することで、委託ミスや行政確認時の指摘を防ぎやすくなります。

許可証確認でよくある見落とし

産業廃棄物収集運搬業許可証の確認では、次のような見落としが起こりやすいです。

  • 許可証の有効期限を確認していない
  • 排出場所側の許可だけを見て、搬入先側の許可を確認していない
  • 許可品目と実際の廃棄物の品目が合っていない
  • 積替え保管の有無を確認していない
  • 通常の産業廃棄物と特別管理産業廃棄物を混同している
  • 契約書やマニフェストとの整合性を確認していない

特に「いつも頼んでいる業者だから大丈夫」という場合でも、廃棄物の種類や搬入先が変わると、必要な許可が変わることがあります。

新しい品目を依頼する場合や、いつもと違う処分場へ搬入する場合は、その都度確認することが大切です。

よくある質問

産業廃棄物の委託についてよくある質問
Q
産業廃棄物収集運搬業許可証は、写しでも確認できますか?
A

はい、実務上は許可証の写しで確認するケースが一般的です。

ただし、写しを確認する場合でも、有効期限、許可を受けている自治体、取り扱える産業廃棄物の種類、積替え保管の有無などを確認することが大切です。

また、継続的に収集運搬を委託している場合は、契約時に一度確認して終わりにせず、許可の更新時期にあわせて最新の許可証の写しを提出してもらうと安心です。

Q
収集運搬業者が許可を持っていれば、どの産業廃棄物でも運べますか?
A

いいえ。収集運搬業者が運べるのは、許可証に記載されている産業廃棄物の種類に限られます。

たとえば、廃プラスチック類の許可はあっても、金属くずやゴムくずが許可品目に含まれていない場合、その品目を運搬できません。

廃タイヤやゴムクローラーのように複数の素材を含む廃棄物では、どの品目として取り扱うかを事前に確認しておくことが重要です。

Q
通過するだけの都道府県でも収集運搬業の許可は必要ですか?
A

通常、単に通過するだけの都道府県については、収集運搬業の許可が必要になるわけではありません。

確認すべきなのは、主に産業廃棄物を積み込む場所と、荷下ろしする場所の自治体です。

たとえば、神奈川県で積み込み、埼玉県の処分場へ搬入する場合は、神奈川県側と埼玉県側の許可を確認する必要があります。実際の運用は自治体によって確認が必要な場合もあるため、不明な場合は管轄自治体や委託先業者へ確認すると安心です。

Q
許可証に「積替え保管なし」と書かれている場合、途中で保管できますか?
A

積替え保管を行うことはできません。

「積替え保管なし」の許可は、収集した産業廃棄物を許可された積替え保管場所で一時的に保管したり、別車両に積み替えたりすることを前提としていません。

ただし、運搬中の一時的な停車や休憩まで、すべて積替え保管に該当するという意味ではありません。問題になるのは、運搬の一環を超えて、廃棄物を一定の場所に置いて管理するような状態です。

Q
許可証の品目とマニフェストの品目が違っていた場合はどうすればよいですか?
A

まずは、収集運搬業者や処分業者に確認し、どの品目として取り扱うのが適切かを整理する必要があります。

許可証、委託契約書、マニフェストの品目がずれていると、委託内容が不正確となり、行政確認時に指摘を受ける可能性があります。

単なる記載ミスなのか、そもそも許可品目が不足しているのかによって対応が変わるため、気づいた時点で早めに確認することが大切です。

Q
許可証の有効期限が契約期間中に切れる場合、契約しても問題ありませんか?
A

契約時点で許可が有効であっても、契約期間中に有効期限が切れる場合は注意が必要です。

通常は、許可更新後の新しい許可証の写しを提出してもらい、継続して適法に収集運搬を委託できる状態か確認します。

更新手続き中の取扱いについては、行政上の運用が関係する場合もあるため、委託先業者に更新状況を確認し、必要に応じて管轄自治体へ確認すると安心です。

まとめ|許可証は「あるか」ではなく「委託内容に合っているか」で確認する

産業廃棄物収集運搬業許可証は、収集運搬業者が許可を持っていることを確認するための重要な書類です。

ただし、確認すべきなのは「許可証があるかどうか」だけではありません。

排出事業者は、許可を受けている自治体、有効期限、取り扱える産業廃棄物の種類、積替え保管の有無、特別管理産業廃棄物への該当性などを確認し、今回の委託内容に合っているかを判断する必要があります。

また、許可証の内容は、委託契約書やマニフェストの記載内容とも整合している必要があります。

産業廃棄物の収集運搬を委託する際は、事前に許可証の内容を確認し、不明点があれば収集運搬業者や処分業者へ確認することが、適正処理とトラブル防止につながります。


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